姫は自由に生きている







ダイニングテーブルを挟んで向かい合う俺たちの間には、重たい空気が流れている。


「………」

「………」

一体、どれくらいの時間が過ぎただろうか。

いつもは明るい琳さんだが、恋の事になると簡単に言えば"鬼"になる。

「右京」

「はい」

黙っている時間も無駄だと思ったんだろう。
…いや、思ったではなく無駄なんだ。

恋がいつ起きるかも分からない。
話は早急に済ませなくてはならない。


「話せ」


琳さんにこう言われれば、俺に話す以外の選択肢はない。



「ーーーーーーてことだ。」


"あいつ"からの手紙の事を事細かく全て話した。
その手紙を見せれば、たちまちリビングは殺気に包まれる。

なにも、言わない。
ーーーいや、軽々しく口に出せない

痛いくらいに力がこもっている拳から血が出ていようと、怒りを我慢するために身体が震えようと
俺たちはなにも言わずに我慢する。

思っていることは同じだ。

辛いのは、他の誰でもない







今も夢で魘されている恋だから。