右京side
琳さんの車で俺が一人暮らししているマンションまで送ってもらった。
別に家族が居ないわけでも、仲が悪いわけでもない。むしろ関係は良好だと思う。
ただ、家から学校に通うには少し距離があるのと
一人の時間が欲しいという理由で親に許可を貰ってこのマンションを借りた。
琳さんがマンションの駐車場に車を停め降りるのを合図に、俺は眠っている恋を俗に言うお姫様抱っこしてそのままマンションへ入った。
厳重なロックで警備がしっかりしているこのマンションに、住民とその連れ以外に入れることはない。
25階だてマンションの最上階の一室。
それが俺の家だ。
後ろに琳さんが居るのを確認して家に入る。
「邪魔する」
「どうぞ」
琳さんをリビングに通し、俺はとりあえず眠っている恋を寝室のベッドにそっと寝かせた。
「恋…」
車の中からずっと、眉間にシワを寄せて"なにか"に魘されている。
その"なにか"なんて、見ていれば分かる。
少し一人にするよ。恋。
頭を撫でて俺は琳さんの居るリビングへ向かった。