姫は自由に生きている


「なんでだ」


「そんなの、右京が一番分かっていることでしょう?」


「……………」


そう言うと黙る右京。


私はもう、"ここ"と関わるつもりはない。


いや、関わってはいけない。


でも、"ここ"が好きなのには変わりない。


だから、また関わりたいと思ってしまう弱い私。


矛盾してるわね。


「右京」


私は鞄からメモ帳を取り出して自分の連絡先を書く。


「これ、今の私の連絡先。なにかあったら連絡して」


「……わかった。」


相変わらず、無表情で無口で。


何も変わってないわね、右京は。


「じゃあね。帰りましょ琳。剣も今日は家に帰ってきてね」


少しピリピリとした空気のまま、私は琳を連れて出ていった。



バタン


扉は閉まった。