姫は自由に生きている


案外、みんないい人なのかもしれない。

人間、なにがキッカケでどうなるかなんて分からないじゃん?

良いも悪いも、どんな方向に持っていくかは自分の行動と気持ち次第だと私は思う。

自分がどんな風に相手を思っているかなんて、なんとなくは相手に伝わる。

仲良くしたい。その思いがあればキッカケは作れるしチャンスもやってくると思う。

全てはタイミング。

伊達に1人で留学しに行って暮らしてたわけじゃないからね。

私の向こうで身につけた対人スキルとコミュ力舐めんなよ。


なんて思いつつ、黒板に絵を描きだす。

チョークで描くと、ペンで描くのとはまた少し違うから難しいんだよね。

集中すると周りの音が聞こえなくなる私は、勿論剣達がなんか言ってるのを全て無視している。

絵描くのってやっぱ楽しいのよね。

自分を表現出来る方法。
自分を晒け出せる場所。
自分を認めてもらえるキッカケとなるもの。


クラスの人達は当日に向けて準備をしている気配がする。

剣達からは、物凄く視線を感じる。
多分私のこと凝視してる。


「ふぅ…」

「恋終わったのー?」

「終わった!」

時計を見れば、描き始めて3時間経っていた。

ひと息つくと剣がすかさずやって来る。
あぁ、なんて可愛いのこの子。

「恋すごい!!さすがだね!!」

「ほんと?」

「うん!!ねえみんな見てー!!完成したよ!!」

見ての通り愛嬌のある剣も、クラスで特別浮いているわけではなく程よくクラスの人達と交流出来るらしい。


「すげえ!!」
「まじかよ!」
「杉咲さんすげえ…」
「うめえ」
「天才かよ…」


様々な反応を見せるクラスの人達。

カレー◯んマンとその他仲間達にエプロン着せてカレー持たせてテキトーにファンシーな絵描いただけでそんな手は込んでないんだけどなあ。

「ありがとう杉咲さん!!」

「別に大したことじゃないからいいよ」


委員長が私の所にお礼しに来た。

「大した事だよ!!杉咲さんの黒板アートの情報流せば売り上げも伸びるかもしれな……っひぃぃ!」

「??」

興奮のあまりか、私の手を握って目を輝かせて力説していた委員長は突然なにかに怯えて手を離して去ってしまった。