隣のベッドに恋さんをそっと置いた琳さん。

すると誰かが病室に入ってきた。

「琳、剣は?」

「母さんと父さんか。大丈夫だってよ」

入ってきたのは剣達の両親だった。

「あらそう。どんな状況だったの?」

息子が刺されたのに、やけに冷静な剣達の両親。

「恋が刺されそうになったのを剣が庇って助けた。幸い傷も浅いらしいしもうすぐ目も覚ますと思う。」

「剣もちゃんと男ねぇ。大切な姉を守るなんて。ねぇお父さん?」

「そうだな。それで恋は?」

「そこで眠らせた。……やべぇかもしれねぇ」

「「…………」」

恋さんの、なにがやばいのか。
それが何故両親にも通じるのか。

俺と新は蚊帳の外だった。

「今回剣が刺されたのは俺の責任です。すいません。」

「あら右京君じゃない。久しぶりねぇ。いいのよ別に。剣が好きでやったことだし頭上げて?」

「右京君、君の責任じゃない。剣が恋の為にやったことだ。頭を上げなさい」

「はい…」

「それより恋ちゃん大丈夫かしら?」

「母さん、恋はしばらく落ち着くまで休ませよう。」

「そうねぇ。そうしましょうか」

……なんで、刺された剣よりも恋さんの心配をするんだ?

そりゃ、目の前で自分を庇って刺された大好きな剣を見たら多少自分のせいだと思って責めるかもしれないが……

なにか、それ以上の事がある気がする。

恋さんはやっぱり謎が多い。

「母さん父さん、あとで話あるから。」

「分かったわ。じゃあ今日は帰りましょうか。夜遅いですし」

「そうだな。琳も恋連れて帰るぞ」

「わかった。じゃあなお前達」


挨拶をすると杉咲家は帰っていった。

剣も今日は目を覚まさないだろうって事になり俺たちも帰る事にした。