姫は自由に生きている


「剣、」

気を失っている剣に寄り添っていたのは面子で。
簡単な応急処置も済まされていた。
さすがだわお前ら。

「ごめんね剣…」

今の恋さんにさっきまでの殺気はもう感じられない。

一体さっきまでのはなんだったんだ?
俺たちは夢でも見てたのか?

ブゥン!

なんて思っているとそこに一台の車が入って来た。

「遅い。剣死ぬ。早くして」

「お前なぁ…人使い荒いんだよまじで。まぁいっちょやりますか〜」

車から降りて来たのは琳さんだった。

青白い顔の剣を見るなりそっと持ち上げて車に運んだ。

「話はあとで聞く。サツ呼んだからお前たちもここから立ち去れ。」

「分かりました」

琳さんはそう言うと車を飛ばして病院に向かった。

「お前ら帰るぞ」

右京の指示に従った面子は急いでバイクに跨りここを離れる。

サツと鉢合わせとか死んでもごめんだからね。

剣の血溜まりをただ見つめている恋さん。

「恋、帰るぞ」

「ん」

鴉の奴らは放置で、新の元カノは車に縛って乗せて連れて帰ることにした。

ウチの副総長を刺したのに易々サツに渡すわけにはいかない。
それなりの処罰をしてからサツに渡す予定だ。

恋さんは右京の後ろに乗せて一先ず倉庫に帰った。


これでひと段落。


ーーーーーそう思っていた俺たちが間違いだったと気づくのは少し後の話