姫は自由に生きている


恵side


気づいた時にはもう遅くて。

恋さんの危険をいち早く察知したのは剣で。

俺たちの目の前で、恋さんを庇って剣は刺された。

耳を塞いで顔色を悪くした恋さんに、剣は何か囁いたのを最後に倒れた。


「ふふっ」

剣が倒れると、様子の可笑しい恋さん。

「あんた、昔殺されかけたんだって?それがトラウマで海外に逃げたんでしょ?あははは!ばっかみたい!人殺し!」

それは、どういう事だ?

「っ…!?」

刹那、恋さんからとてつもない殺気と威圧感を感じる。

それは到底女が出せる殺気なんかではなくて。

「ねぇそこどいて」

新の元カノを抑えてる面子に言ったであろうその言葉。

面子も恋さんの殺気にやられて大人しくどいた。

一体何をするつもりなんだ?

未だに狂ったように笑っている新の元カノを恋さんはーーーー

「あっははははは!あはーーぅぐっ…」

首を絞めた

「ねぇ、その情報どこから仕入れたの。誰に聞いたの。おかしいと思ってたんだよねぇ。安藤健も、あんたも。誰の差し金?誰の指示?」

「っぐ……ぁ……ぃ、ゃ……」

「なに。聞こえないんだけど。」

淡々と質問をする恋さんの目に、生は宿っていない。色素の薄い茶色の何も写してない瞳。

「ねぇ。質問答えてよ。私短気なんだよね」

「ぅぁっ…!!っぐっ…ぁ、ぁ、…」

喉仏を潰す勢いで新の元カノの首を締め付ける恋さん。

一体彼女になにがあったんだ?
そもそも今俺たちが見てる彼女は恋さんなのか?


「あぁ、首絞めてちゃ話せないか。ほら離すからさっさと吐いて。じゃないとーーーー」


"殺しちゃうから"


ヒュウッ、誰かが息を呑んだ。
それは俺かもしれないし他の奴かもしれない。

今の恋さんに近づいてはいけないと本能が言っている。

新の元カノは完全に恋さんに怯えている。