姫は自由に生きている


「随分と惚れ込んでるんだな。オヒメサマに」

「うっせぇ。さっさと殺るぞ」

「想いは一方通行、ってか。」

「それ以上言ったら殺す」


戦いは始まった。

右京はまずは様子見らしく安藤健の攻撃を避けるばかり。

総長やってるだけあって安藤健も伊達に強いらしい。

右京の攻撃をし出した。
……さすがに何年も経てば強くもなってる、か。
右京のパンチは一つ一つが重い。
安藤健も一撃食らうだけで重心がずれる程。

殺伐とした空気の中で、繰り広げられる男の戦い。

「恋、大丈夫だよ」

「うん」

剣は隣で私の手を握ってくれた。

こんな時ですら癒しってもうさすがだわこの子。


右京が押している状況の中、安藤健のスタミナ切れが目立ってきた。

「はぁ…はぁ…や、るじゃねぇか高町」

「あ?さっさとくたばれよ。殺すぞ」

右京は全然息が切れていない。
この男は超人か?

まぁ戦ってる右京の姿はすごいカッコいい。

いつも寝ているイメージしかないから余計にね。
ギャップ萌えってやつ?


結局、勝ったのは右京だった。圧勝。

安藤健は顔がパンパンに腫れて最早誰?って感じになって倒れている。
肋とかもやっちゃった感じかな?

右京も無傷ではないけど、怪我はほんの少し。

「お疲れ様右京」

「恋。」

そう言って、右京の所に行こうとした時だった。

「殺してやるっ…!殺してやる!!!」

あの馬鹿女の声が聞こえたのは。

「「恋っ!!」」

「うわああああああ」

叫びながら走ってくる馬鹿女の手には、ナイフが握られていて、それと同時に右京と剣が私を呼ぶ声が聞こえる。


世界がスローモーションで動いてるように思えた。

何故か剣が私に覆いかぶさるように抱き締めてくれて、馬鹿女の手は血に染まっていて。

壊れたように笑う馬鹿女を取り押さえる希龍の面子が居て。

なにが起こったのか、分からなかった。