姫は自由に生きている


まぁみんな抗争に集中しているから誰の耳にも入ってないんだけどね。

20分くらいで鴉の奴らは全員片付いた。

「てめぇはここで待ってろ。オヒメサマ行くぞ」

そうなることを予想していたのか安藤健は冷静だった。
自分の仲間信じてないって腐ってる。

私は安藤健に引っ張られて下に行く。


「恋!」
「恋さん!」
「恋たん!」

「安藤、この落とし前どう付けてもらおうか」

「高町右京。俺とタイマンしろ。お前が勝ったら鴉は解散する。だが俺が勝ったらー…」

チラリと私の事を見た安藤健。

「オヒメサマは俺が貰う。」

ピキッと、空気が固まった。

「あ"ぁ!?」

「嫌なんだけど。」

「ぶはっ。そういうところ気に入ったんだよ俺は。」

「いや、無理だから。てかまず姫じゃないし。」

「まぁいいじゃねぇか。俺の彼女になったら存分に甘やかしてやるぞ?」

「そういうのきもいから。」

「つれねぇ所もまたいいなぁ。なぁ高町?」

「ちっ……」

馴れ馴れしく肩組んでくるんじゃねぇよ。

「まぁ取り敢えず始めるか。」

空気が、一気に変わった。

私は剣達の居る所に移動する。

この世界では、総長同士のタイマンに外野が手を出さないのが絶対のルール。
負けても勝っても文句は言わない。
男同士のプライドをかけた戦いである。
そこに、女の私が口を出すなんて以ての外である。
黙って見届ける。それが外野のルール。


「恋、絶対勝つから安心しろ」

「負けたら怒るからね」

「わぁってるよ」

ふっ、と右京が笑った。
それは珍しい事で。
隣に居る剣達も驚いていた。