姫は自由に生きている


ほんと私何の為に攫われたのか分からないわ。

まぁ一つ言えるとしたら馬鹿女はどこまでも馬鹿だったって事で。


辺りを見渡せば、どうやら私が居たのは倉庫の二階にある一室だったらしい。


下には不良がうじゃうじゃ居るわけで。


どうしようかと思っていたら
ブゥンブゥン
希龍のバイク音が聞こえてきた。

ナイスタイミング。

バゴーン!

………そのまま倉庫のシャッター破って入って来やがったぞあいつら。

え、馬鹿なの?馬鹿だよね?それ自分たちも危ないって分かってる?
大事なバイク傷付いてるって分かってる?分かってるの?

「誰だ!?」

「希龍だ。」
「恋返せ!」
「うちのお姫様どこです?」
「恋た〜ん迎えに来たよ〜」


みなさんお聞き下さい。このいつも通りな感じを。
ただいつもと違う所をあげるとすれば、それは殺気。
鴉の奴らが怯むくらいの殺気をあいつらは纏っている。
特に右京。さすが総長なだけある。
それと……圭介の殺気とそっくりだ。
あぁ、思い出したくない事思い出しちゃった。


「あ!恋発見!!」

「来るの遅いんだけど」

「待っててね!恋」

「わかった」


数時間ぶりの剣との会話癒されるわ。

鴉の奴らは私が上で見物してた事に気付いてなかったらしい。
まだまだだね。

「殺れ」

右京の合図で抗争は始まる。

希龍の面子の方が圧倒的に強く押している。
鴉は薬もやってるって聞くし身体がボロボロだから一撃ですぐに倒れる事倒れる事。

なんて見物してると、さっきの部屋から安藤健と顔に殴られた痕のある馬鹿女が出て来た。

「もう来たのかよ…」
「新が迎えに来てくれたぁ!」

どこまでも頭が残念な女だ。
新が迎えに来たのは私だっつーの。

安藤健はさすが総長なだけあって血が騒いでいるのか楽しそうに見ている。

「新ぁ!アヤここだよぉ!助けてぇ!」


……ねぇ。この女の頭の中が切実に見てみたいよ。
なにをどうしたらそんな思考になった?
お前が仕組んだ抗争だろ?なに被害者ぶってんだ?ガチで殺したくなるんだけど。

安藤健もは?って顔で馬鹿女を見ている。