姫は自由に生きている





「んっ……」


目が覚めると、知らない部屋に居た。


幸いにも手足は自由だ。動ける。


確か圭介に会って逃げて、そしたら知らない男たちに捕まって……薬を嗅がされて意識飛んだんだ。

ここはどこだろうか?


ドアは見張りが居ると困るから下手に開けない方がいい。

とりあえずこの部屋にある窓を開けてみることにした。

ざっとここはどこかの倉庫の二階の一室。
少し潮の匂いがするから海の側。

外の気配に集中してみる。
……靴音が1つ。かすかな話し声が2つ。
見張りは2人、か。

強行突破もありだけど、ここの正確な位置が分からない以上逃げるに逃げれない。

ここは一先ず右京達の助けを大人しく待つしかない。


こういう時、無駄に頭が冴えるから困る。


なんで圭介は……いや、きっと私に会いに来たんだ。
希龍に居ると分かったのはきっと琳に聞いたからで、会いたいと願って連れて来たのも琳だろう。

……あの野郎。殺るか。

なんて事を考えながら、外に動きがないか耳を澄ませる。


見張りの男どもは完全に気が緩んでるらしく笑い声が聞こえる。

「お疲れ様です!」
「うぃっす!」

やば。なんかこの部屋入って来る気がする。

見張りの男どもが挨拶をするって事は、そいつらより上の奴。
最悪総長とかの場合がある。

ここがどこかの族の溜まり場であるのは確信している。
さっき窓から下みたらバイクが大量に溜まってたからね。


とりあえず寝たふりしとくか。

起きた時と同じ場所で寝たふりをすると、扉が開いた。