恋side
なんでなんでなんでなんでなんで
なんであの人が…圭介が居るの?
頭を過ぎるのは、"あの時"の光景。
ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…
気づいたら幹部室を出て無我夢中で走っていた。
でも、生きてて良かったっ……
安心したのは本当なんだ。
だけど、同時に罪悪感が勢いよく襲ってきた。
やっぱり私は………
いきなり走って飛び出してきた私に驚いた面子は、わけが分からないまま呆然としていて私はその隙に倉庫を出た。
「恋っ!!」
後ろから右京の声が聞こえるけど、そんなの知らない。
今私は右京にも合わせる顔がない。
今右京と向き合ったら、自分が自分で居られなくなる気がしてならない。
ごめんね右京。
私は必死で走る。
特に目的地もなく、ただただ走って倉庫から離れる。
ここが何処かさえも、もう分からない。
未だに後ろからは右京が追いかけてきて、私を呼ぶ声が聞こえる。
もう止まらないの。
そう思っていた矢先、一台の黒いバンが私の前に止まって道を塞いだ。
なんでこんな時にっ
そう思って車を回って通ろうとしたら、中から出てきた男たちに捕まった。
「離してっ!」
息も切れ切れの状態で、どんだけ走ったのか分からないけど結構な距離だってことは分かるから疲労も溜まっている。
抵抗する間も無く知らない男どもに捕まった。
「恋っ!!」
「右京!!」
右京の焦った姿と、
「お姫様いただき〜」
知らない男の言葉を最後に、私は布を口と鼻に押し当てられ意識が切れた。
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