姫は自由に生きている


幹部室には重い空気が流れる。


「やっぱまだ早かったか…」

「まぁそう落ち込むなって圭介」


"恋。久しぶり"
確かに圭介さんはそう言った。


「あの…質問いいですか?」

「あぁ」

「圭介さんと恋さんって面識あったんですか?」

「あぁ」

「そうですか……」


じゃあなんで恋さんはあんなにも圭介さんに怯えていたんだ?


"まだ早かった"ってどういうことだ?

俺たちは、何が起きてるか分からない。

右京はこうなる事を予測していたのか?


「兄貴どういうことだよ」

「……お前は知らなくていい。」


これ以上踏み込んでくるなと、牽制された剣。…いや、俺たち。


「恋は右京に任せとけ。俺たちは帰る。」

「じゃあまた来るから」

難しい表情をした二人は、静かに帰っていった。

残された俺たちは、なにをどうするのが正解か分からなかった。


シンとする幹部室。

刹那、ピリリリリリリ

俺のスマホが鳴った。

着信相手は右京だった。


「もしもし?」

ー「今すぐ恋の居場所を調べろ!連れさらわれた!」




カチャリ、カチャリと歯車が動き始めた。