姫は自由に生きている


スリスリと剣に擦り寄る私。


「恋ちゃんは姫になりたいって思わないの?」


希龍の姫……あぁ。思い出すな私。


「……そうね。思わないわ」


力なく笑った私を不思議そうに見る剣達。


その意味を知るのは、琳だけ。


姫になりたいなんて、私に思う権利ない。


そうでしょ?ーーーー。


「恋ちゃん変わってるって言われない?」


「そんなこと言われたことないわよ…多分」


あれ、言われたことある気がするけど、、、


覚えてないし言われたことないって事で。



そんな事を話していると、

ガチャ

幹部室の扉が開いた。


中に入って来たのは、一際存在感のあるオーラを放った無表情な男。


すぐに分かった。この男が今の希龍の総長だと。


「おっかえりー右京!」


「おかえりなさい右京。お疲れ様です」


「あぁ」


………右京?


待って。私の知ってる人にも右京って人居る。


右京なんてそうそう居る名前じゃないよね?


あれ、面影ある……


「う、きょう……?」


「……恋?」


私が名前を呼ぶと、目を見開いた右京。