姫は自由に生きている


「とりあえず座って下さい」

こういう時に仕切るのが俺の役目だったりする。


「今日恋も来るよな?」


「…………あぁ」


琳さんの問いに右京は答える。

ただ、いつもと様子が違うのは気のせいだろうか?
どこか苦しげな、そんな感じ。


「お姫様か〜」

そんなニヤニヤしている表情豊かな、右京とは真反対な圭介さん。


「ちなみに俺たちが来ていることは?」

「………言ってない」

「だよな」

なぜか右京、琳さん、圭介さんの3人だけ空気が重たくなった。


なんなんだ?一体。


とりあえず疑問に思いながらも、俺たちは雑談して恋さんが来るのを待っていた。

「お姫様まだかな〜」

圭介さんは話しながらもちょいちょい扉を気にしている。
とても楽しみにしている様子だ。


しばらくして
ガチャ

「やっほ〜。今日誰かお客さん来てるの?みんながなんか言ってたんだけど…」

恋さんがいつも通り入って来た。

「よぉ恋」

「あれ?琳だったの?なんだ」

「なんだよそのがっかりは〜」

「別に〜」


ちなみに、圭介さんは面子から恋さんの到着を聞いて驚かせるんだって言ってソファの裏に隠れている。
右京は、なぜか緊張した様子だ。……今日の右京がよく分からない。


そして、琳さんと話している所に圭介さんが登場した。


その瞬間だった。

「恋。久しぶりだな」

「っ………」


恋さんが、息をひゅっと呑んだのは。
恋さんの、様子がおかしくなったのは。

「な、んで……い、や…いやよ!ご、めん…ごめんなさいっ……」

「恋!!!!」


目の前の圭介さんを怯えるように震え出し、逃げるように幹部室から走って出ていった恋さん。


右京が追いかけようとした圭介さんを止めて、代わりに右京が恋さんを追いかけるように出ていった。