姫は自由に生きている


「ここなら、邪魔されない」


「そう……」


ベッドに横になる私の隣に腰をかける右京。


「お前が、車の中で何を考えていたか当ててやろうか?」


「…………」


「まず最初、"なんで私に誰も状況説明してくれないの?"」


「………そうね」


「あの時説明してる時間はなかった。それだけだ。今分かってる情報を説明するとすれば、付けていた車は鴉のものだ。あいつらは鴉の下っ端。偵察にでも来たんだろう。」


「やっぱね」


「……そこまで分かってたか。決着が着くまで恐らく鴉に付け回される日々が続く。それだけは覚えておいてくれ」


「わかった」


優しく、優しく私の頭を撫でる右京。


「次に、車がスピードを上げてからお前が思っていたこと。」


「…………」


「"楽しい"。だろ?」


「よ、く分かったね」


さっきだって目を瞑ってたくせに、よく私の考えてる事分かったなこいつ。


「恋があの状況で考えてる事なんて今も"昔"もきっと一緒だ。やっぱりお前は…「言わないで」……恋」


そんな目で見ないで。
そんな悲しそうに私を呼ばないで。
その言葉の続きを……言わないで。


分かってる。分かってるから。お願いだから……


「分かった。言わないから耳塞ぐの辞めてくれ。な?」


普段、みんなと居る時には絶対出さない、きっと私しか知らない右京の優しい声。