……なんて思っていたのは、どうやら私だけだったのだと知るのはすぐ後だった。
「帰る」
学校をいつも通り無駄に過ごし、右京の合図で支度をし出す。
それももう日常になっている。
……慣れって怖い。
いつも通り全員で車に乗る。
最初こそ女の所から直接来るのが当たり前だった新も、最近何故か女遊びをしなくなったので車で帰るようになった。
可笑しくなり始めたのは、今思えばこの時からだったのかもしれない。
「…………」
倉庫に向かってる途中、右京の機嫌が下がり出す。
「右京」
「あぁ」
どうしたものかと思っていたら、剣と右京が目配せをする。
恵はパソコンを弄りだした。
新は私の隣に移動し、手を握りだす。
いつもだったら新に暴言を吐く右京も、今はそれどころじゃないらしい。
明らかに"何か"が起きてるはずなのに、私には何も伝えてくれない皆。
この空気を、私は"知っている"。
チラリとバックミラーを見れば、あぁなるほどねと思う。
ガラの悪い車が私たちの後を付けている。
それも多分ずっと。
だからそれに気づいた右京は機嫌悪くなるし、恵は多分その車の相手を調べている。
剣が運転手と話しているのは多分これからの事で、新が私の手を握っているのは何も言わない代わりに私が不安にならない為。
「恋」
ふと、右京に呼ばれた。
右京の方を向けば
「大丈夫だ。」
手を伸ばして頭を撫でられた。
「信じてるから」
右京は、私がなにが起きてるのかを把握したのを知っていると思うし、それに私が何故"焦らない"のかも知っている。
右京は、何も言わなくても私のことを分かってくれるから居心地が良い。

