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夜遅く、倉庫にある一室では女の嬌声が響いている。


情事が終わってから、女は下に落ちてる下着を拾い着ける。


「ねぇ」

「あ"?」

「ヤらせてあげたんだから約束、ちゃんと守ってよねぇ?」

「当たり前だろ。俺は約束は守る男だ」

「くすっ。ならいいのぉ。ふふっ。楽しみだなぁ。さっさとお願いねぇ?」

「ちっ。俺に命令すんじゃねぇ。まぁヤルけどな」

「くすくすくす」

「性格悪い女」

「えぇ?そんなことないよぉ?」

「そ」


男と女。

余韻なんて二人にはなくて。あるのは不気味な女の笑い声。


男は心底女が気持ち悪いと思っていた。


仕方ない。女と男の関係は恋人ではなく利害が一致しただけのただの他人。

女が男に好意を寄せることはないし、勿論男がこの女を好む事もない。


所詮、ただの契約関係。

それが終わってしまえば赤の他人なのだから。


「あーあ。楽しみだなぁ。ふふふっ」



女に見えるのは、どす黒く醜い嫉妬と憎悪と怒り。


今夜、なにかが動き始める。