姫は自由に生きている


どんどん夜の街へとのめり込んでいく俺を見越したのか、トウタさんにある日呼ばれた。


「新、お前女遊びやめれねぇんだろ」


それは疑問系ではなく、確信をついた言い方だった。


「……まぁそうっすけどいいじゃないっすか〜。俺は止めないっすよ」


「今身体売って金稼いでんだろ?お前が辞めないなら俺は止めねぇ。だけどちゃんと学校に通って欲しいと前々から思ってた。良い機会だし学校に通え。手続きはしてあるから」


トウタさんは、俺を止めなかった。その代わりに学校に通えと言った。


「は?手続き済ませてるって?」


「なんだお前の脳みそヤる事しか分かんねぇようになっちまったのか?希龍の面子らがほとんど通ってる学校。もちろん俺も通ってるんだけどよ。校長と仲良いからちょっと話したらオッケー出してくれたから心配はいらねぇ。これ総長命令な」


「…わかりました」


総長命令となれば逆らうという選択肢はない。

俺は学校に通うことになったらしい。


「来月の頭からな。制服届いたら渡すからちゃんと準備しとけよ〜」


学費諸々はとりあえず勝手に俺が決めたから、とトウタさんが出してくれた。