姫は自由に生きている


「だから、俺たちがお前の居場所を作ってやる。いい話だろ?」


そう言ったのは、今まで眠たそうにウトウトしていた右京だった。


右京を見れば、真っ直ぐに俺を見ていて。


「でもっ…!俺を希龍に入れた所でお前らになんのメリットがある」


「あぁ、それなら言ったじゃん。"俺たちはお前をスカウトした"って。」


「……どういうことだよ」


「意味の通り。新、喧嘩強いでしょ?希龍はさらに上を目指す為に強い奴を必要としている。そこに君が居たわけだ。どう?俺たちは強い奴が希龍に入り、新は希龍に入る事によって居場所が作れる。お互い良い状態を保てると思わない?」


「………確かにな。でも、俺は居場所なんていらねぇ。どうせお前らも俺を捨てるんだ。そんなん最初からいらねぇ。」


「居場所を必要としない奴なんて居ないよ。誰もが自分の居場所を欲している。それは一つではない。二つも三つも人間は欲深いから居場所を欲しがるんだ。わかる?新も居場所が欲しくて仕方ないんだよ。だから俺たちが居場所を提供してあげる。素直に受け取ってよ。あぁ、君に利用価値がなくなったら捨てるかもしれないけど、居場所は努力せずに手に入れられるモノじゃない。努力しなければ居場所はない。だから努力をすればいいだけの話。簡単でしょ?」


「………」


「じゃあ決定ね。はいじゃあ荷物まとめてきてね。ダンボール持って来たから。はいこれ。いってらっしゃい」


「ちょ、おい!俺はまだ納得してねぇ…って押すな!」


恵はそう言うと、俺にダンボールを持たせ施設に追いやった。


まともな奴かと思ったらどうやら違ったらしい。


希龍にまともな奴、いねぇかな……


自分の部屋に戻って、荷物をダンボールに詰める。

不思議と体が動いていた。


居場所が作れるかもしれないなら…ここを出られるなら…あいつらと居てもいいかもしれない。


そう思った。