姫は自由に生きている


ブゥンブゥン!!


外からバイクのマフラー音が聞こえる。


……どうやら昨日の出来事は夢ではないらしい。


窓を開ければ、5台のバイクと一台の黒塗りの車が止まっていた。


それは昨日の奴らで。


平日の昼間なだけあって、子供達は幸いにも居ない。


居るのはババァと施設で働く奴らと俺だけ。


「あ、新ー!やっと起きた!迎えに来たぞー!」


車の窓から顔を出したのは恵だった。

……ここで騒がないで欲しい。


無視をして窓を閉めれば、ブゥンブゥンブゥンブゥンとマフラー音を爆音で奏でだすあいつら。


本気で止めて欲しい。


「ちょっと新君!なんなのよあの不良達は!さっさと帰らせて頂戴!迷惑なのよ!ったく」


バタン!とドアを開けて入って来たのは顔を真っ青にしたババァ。


どうやら俺はあいつらの元へ行かなくてはいけない運命らしい。


渋々外へ出ると、恵と右京が車から降りてきた。


「おはよう新。迎えに来たよ」


「迷惑なんだよ帰れよ」


「そういうわけにはいかないでしょ。君の居場所はどこにもないんだ。」


恵のその言葉が、ズシンと心に重たくのし掛かった。


気づいていたけど、逃げて来た現実。


親に捨てられ、やっと信じられると思ったアヤに利用され、施設の奴らには異端者扱いをされ、心のどこかでは助けを求めていた。


それを消す為に、俺は喧嘩をしていた。


誰も、気づくことなんてなかったのにこいつらは……