「ねぇ、あのさ」


私は担任から一番イヤな役目を無理矢理押し付けられたんだけど…って訴えた。


「どうして皆は希望に沿う係になってもいいのに私はダメなのよ!?」


全く理解できない。
どうしてあの群れの中に自分は入れないんだ。



「しょうがないじゃん。これは運命なんだから」

「運命!?」


ベートーベンか?って言いたくなる。


「そう、今日この教室の真ん前に座ったのが俺達の運命。もしかしたら、ここから良いことが始まってくかもしれないだろ?」


精々楽しもうぜと笑うこいつは何処までも気楽で幸せ者だと思う。

一ノ瀬圭太とは絶対に反りが合わないと感じ取った瞬間だった。



「バカバカしい。やってらんないよ」


プイッと背中を見せて大きな息を吐くと、彼はトントン!と指先で肩を突つく。


「何よ?」


振り向こうとした途端、「ワッ!!」と大声で叫ばれた。


「ひゃっ!!」


こっちは驚きを通り越してひっくり返りそうになった。
私を指差して笑う一ノ瀬を思いきり(クソガキ!)と感じた。


それ以来、何かというと私のことを急に驚かしてくる。

授業中に掌に握ってるモノを当ててみろと言われ、覗き込もうとしたらカエルが飛び上がったり、ツボ刺激してやろうかと言うから掌を見せたら、尖った鉛筆の芯でぶすぶす…と刺してきたり。