三人のゆとりちゃん達は、あの後急に真面目になって話に加わってた。
それなりに自分達の考えも伝え、私は改めて彼らの思いを知った。

それを聞きながら、やっぱり私ではダメなんだ…と思った。

三人のゆとりちゃん達に振り回されて、お尻を叩くことしか出来なかったのは自分。
それなのに一ノ瀬圭太は、あんな言葉で彼らを追い詰めてヤル気にさせた。


私には出来なかったことを易々とやってのけた。

自分ではそんなことは出来ないと、改めて知らされた。


(私が上司ではダメなんだ。私にはやっぱり人を育てていける実力なんてない……)


きゅっ…と唇を噛みしめた。
それは今に始まった訳じゃない。



「大田、今度は脂ギトギトのラーメン屋な!」


いきなり掛けられた言葉にギョッとして振り返る。
どうして今、そんなことを言い出す!?


「何っすか、ラーメン屋って?」

「なぁに、もしかして二人って付き合ってるの〜?」

「じゃ、あの噂、本当だったんらー」


舛本君の言葉に、二人が「噂って何?」と聞き返してくる。


「いいから、帰るよ!」


一ノ瀬圭太の話には応じず、三人を置いて大股で歩き出した。
どうしていつも人前で思わせぶりな発言をするんだ。


(あんなこと言ったら何かがあると勘違いされるじゃない)


いきり立ちながら思う。
まさかとは思うけど、彼は本気で私との間に何かがあるように取られたいのか。