自分はもう十分頑張ってるのに、これ以上も「頑張れ」…か。


それ以外の返事もできずに岡崎さんの背中を見送った。
「お疲れ様でした」…と頭を下げ、三人のいる所へ近づく。



「大田!」


一ノ瀬圭太の眼差しが私を捉え、気軽に声を掛けてきた。


「うわっ、ホントに同級生みたい〜!」

「アホか。最初から同級生だと言ってるじゃないか」

「いい響きらな。『同級生』!」


ゆとりちゃん達は相変わらず呑気そうだ。
私と彼が一緒の学校に通ってたのは、たった四ヶ月間だけなのに。



「今日は大変失礼をしました」


部署の責任者として謝った。
一ノ瀬圭太は「何が?」と首を捻り、三人に視線を走らせる私に気づく。


「…ああ、うん。まぁ面白かったな」


面白い?
あの状況を面白いと思えるのか、この人は。


「それよりも大田、これからもっと大変になるから頼むぞ。お前らもしっかり先輩をフォローしてやれよ」


すっかり上司気分でいる。


「はい!勿論っす!」

「私もできる限りお手伝いますぅ〜」

「オレも精一杯頑張りますからー」


三人の言葉に笑みを見せ、一ノ瀬圭太は満足そうな顔をしてる。
私はそんな彼を見てると胸が迫って堪らなくなり、くるりと背中を向けた。


「それじゃ帰るわよ。いつまでも高木主任を一人にはしておけないから」


歩き出しながら今回のミーティングを振り返った。