「カラーは?」

「汚れが目立たない方がいいけど、わからないと掃除サボってしまいそうだから明るい色がいいな。ペパーミントグリーンとかパステルカラーのピンクとか」


頭の中で勝手に想像したらしい。
クスッと笑う声が聞こえたから、カッと顔が熱くなった。


「他には?どんな設備が欲しい?」

「それ言ったらまた笑うでしょ」

「笑わない。…努力する」


ウソつけ。絶対に笑うつもりでいるクセに。


そう思ったけど教えた。
私が子供の頃から憧れ続けてる家の理想。


「……家の中にブランコが欲しい」

「えっ…ブランコ?」

「そう。乗ってユラユラしながら考え事したい」

「何を?」

「それは教えてやれない」


すっかり乙女チックな理想ハウスについて語ってしまった。
気づけば目の前には、美味しそうに焼かれたビーフの塊肉が置かれてあって。


(やった!やっとお腹に溜まりそうな物が出た!)


ミディアムレアに焼かれたお肉をサイコロ状に切ってパクついた。
上品な味わいで、噛めば噛むほど肉汁が溢れてホロホロと崩れて無くなる。



(美味しい!美味しいけどやっぱり物足りない!)


後から調べてみたら、この店のお肉はA5ランクだった。
どうりで脂は上品で、あっという間に噛めてしまえる訳だ。



「どれも美味しかったけど、ちょっと上品過ぎた」


奢ってもらって悪いけど正直に話す。