後を追わないでいると振り向かれた。
少し距離を空けて見れば、やっぱりそこに居るのは素敵すぎる男子。


「折角だから少しだけ付き合えよ。同窓会のやり直ししよう」


そう言いながら優しい顔で微笑まれる。
中学時代のことを思い出して、胸がきゅうん…と締め付けられた。


「………少しだけなら」


仕様がなくそう言うと「サンキューな」とお礼を言われた。


「そんなお礼言うようなことしてないし」


プイッとそっぽを向く私に寄ってくる男。
昔よりも更にハイスッペクになってしまった人。


肩を並べて歩くのなんて久しぶり。
そんな彼が言い出した言葉に耳を傾けた。


「俺、明日からモデルハウスのデザインを考えるんだ。だから、大田の意見も聞かせてくれよ」

「私には意見なんてないよ」

「どんな家に住みたいかって話でいいんだ」

「そんな話、私でなくてもいいじゃん」

「いいだろう?いろんな人の話を参考にしたい」


「そこまで言うなら別にいいけど……」


敢えて異論を申し立てる必要もない気がしてきた。
考えてみたら、お昼も食べないまま仕事を何時間もしてたんだ。


声を張り上げたら空腹がいきなり迫ってきた。
グ〜〜ッと鳴りそうなお腹に手をやって呟く。


「私、お酒よりも食事したい」

「相変わらず食べるのが好きだな」


可笑しそうに笑う。