イジワルな彼と夢みたいな恋を?

自分が悪い訳でもないのに責めるのは自分。
こんな毎日ばかりを送って、何が幸せなんだ私は。


(私なら何でも出来ると思ってんの!?)


心にゆとりもない程仕事ばかりしてるのに、給料は上がったりもしないしボーナスが増える訳でもない。

住宅販売は今はむしろ頭打ちみたいな感もあって、新規住宅を購入する人の方が少ない。

安く手に入れた中古物件を、更に安い値段の資材でリフォームしようとする世の中だ。


それなのに、こんなに頑張る必要がどこにある?
ゆとりちゃんや主任を見習って、さっさと上がればいいんじゃないの?



「もういい!今日はもう止めて帰るっ!」


誰に言うでもなく宣言した。
大きな声を張り上げたら、少しだけ気持ちが落ち着いた。



「……もう少しだけ頑張るか……」


私って健気だなぁ…と自画自賛してから仕事に取り組む。

誰も自分を褒めてなんてくれないから、せめて自分だけは褒めてあげないとダメ。



結局、ライトを消したのは午後八時を過ぎた頃。
真っ暗になった部屋の中で、しんみりとしてる暇はない。


(さっさと帰ろ)


オフィスビルでの怪談話は聞いたことがないけど、相変わらず暗いのは嫌い。

タッタッ…と足音を立てて廊下を歩き、一人きりのエレベーターに乗り込む。



(誰も乗ってきませんように…)