「大田の居る前で話したからギョッとしたんだ」

「えっ…?あの……」


「お前、いい加減に気づけよ」

「な、何を」

「俺がどうしてこの家を設計したと思う?」

「それは、ハウスデザイナーとしての最後の記念になるように…と」


さっきそう言ってたよね?


「それだけじゃない」

「じゃあ何!?」


ゆとりちゃん達を成長させる為?
それとも、自分の実力を会長に見せる為?


「大田」


えっ…何?
どうしてそんなに寄ってくるの?


「い…一ノ瀬君…?」


なんか目が真面目すぎて怖いんだけど〜〜。



「……もしも、俺がお前のことをずっと好きだった…と言ったらどうする?」


「えっ」


「お前に告白がしたくて、この家を建てたと言ったらどうする?」


「ええっ!?」


「ついでに言うなら、このモデルルームみたいな家を建ててやるから結婚して欲しいと言ったらどうだ?ハイスペックな男と付き合うのが夢だったんだろう?」



「ちょ…ちょっと…待って…」



落ち着いてみようと試みる。

あれこれと聞き慣れない言葉が並んだせいかな。
軽い目眩がするし、動機も治らないんだけど。



「答えろ」


つーか、それ本気で聞いてんの!?



「そ…それは……」


こんなグラグラな状態で答えてもいいもの?
そもそも婚約者というのは最初から居なかった…で済ませていいの?