「い…言われなくても乗るわよ」


反抗的な態度をとって近づいた。

しっかりとした丸太木で組まれたブランコには、小さな白い椅子が取り付けてある。


ゆっくりと座って床を蹴った。
膝を屈伸しながら緩くスピードを上げる。



「面白いか?」

「当たり前でしょ!」


強がって答えたけど悲しくなる。

夢が叶ってウキウキとしていい筈なのに、どんどん気持ちが沈みだしてくる。



……次第にスピードが遅くなっていった。

足に力が入らなくなってきたせいだ。



「大田?」


様子を窺いに来る一ノ瀬圭太を見た。

鳶色っぽ瞳も、薄く日焼けした肌も今日で見納め。


こうして見るとホントにイケメンだな…と思う。

非の打ち所のない顔をしてる人だ。

この人のお嫁さんになる人は、ホントに得してる……。


そう思い、立ち上がろうとした。椅子を支えるワイヤーを握り、一言お礼だけ言おうとした。


「ありがとう……。ブランコまで作ってあるなんて思わなくて、すっごく感動したよ……」


いろんな意味で有難いと思う。

あの同窓会で再会できたことを、すごく嬉しいと感じてる。



……でも、どうしてなのかな。

何だか、胸がいっぱいになり過ぎて……。



「ごめっ…なんか泣くつもりでもないのに、涙がでて……」



反抗のつもりでもないのに変。

真逆の行動にしか出れない……。



「大田…」