イジワルな彼と夢みたいな恋を?

私はその部屋のドアをノックし続けてきた。
何処かでもう一度でもいいから会いたい…と、ずっとそう願い続けてきた。


会えたらきっと悪態を吐くに決まってるだろうと考えてた。

実際に会ってみたら、誰かも分からないくらいにハイスペックな男に変わってて驚いた。

デザイナーだろうが社長だろうが、既に手の届かない存在になってる。

それでもこのモデルハウスの出来上がるまでは、共に頑張れることが嬉しかった。


学生の頃みたいで楽しかった。

できればこんな時間がもっと早く、そして、もっと沢山訪れれば良かったのに……。


訪れた時は既に遅くて、これが最初で最後になるなんて。

気持ちも伝えないまま、最後の日を迎えるなんて。


大人になって、過去のことなんて言えやしない。

ましてや婚約者がいる人に、自分の気持ちを明かすこともできない。


このまま何も言わず、隠し通すしかない。

彼のことはいい思い出だった…と、永遠に開けないドアの奥に閉じ込めるしかない……。



家の中に戻ると、一ノ瀬圭太は子供部屋のドアを開けた。

リビングから見えた窓がそこだったとわかり、子供部屋からも下が見えるんだ…と気付いた。


この家はホントに私の理想通りの家だ。
どこに居ても家族の存在が見える…。