イジワルな彼と夢みたいな恋を？

「私が一緒に居てあげるよ」


そんな言葉を信じて参加すれば、クジで当たったのはお化け役の方で。




（こ…怖い……）


夜にはピアノが鳴りだすと評判の音楽室で待機。
私だけがいる訳じゃないけど、どうにも怖くてやれなかった。



「何？震えてんの？」


意外そうな顔をするのは一ノ瀬圭太。
どうしてこういう役目までこいつと一緒なんだ。


「ふ…震えてなんかないから！」


強がってみたところで、十分震えてると自分でも自覚するくらいに足元がガタガタ鳴ってる。


「怖がりなんだ」


一ノ瀬圭太はそう言って吹き出した。


「わ…笑うな！」


言葉悪く静止してるところへクラスメイトが来た。

私達は彼らがドアを開けた瞬間、ピアノを鳴らす役目だったんだけど。


「ポーン！」


一ノ瀬圭太が鍵盤を弾いたところで。



「キャーーーッ！！！！」



私が思いきり叫んでしまった。



「ワッ！」

「ヒィィッ！」


怖がった男女のペアは震え上がって出て行った。

残されたうちの一人は大笑い。
私は腰が抜けて立てない状態だった。


「太田、サイコー！」


ポンポンと頭の上に手を乗せられても、それにも応答出来ないくらいに怖過ぎて。



「もうヤダ……帰りたい……」


泣き出してしまうのなんて恥ずかしいけど、心底恐ろしくて仕方なくなった。