イジワルな彼と夢みたいな恋を?

(残念だな…)


重役連中と話し込む彼の側にも寄れずに見守る。
私と違って図太い神経の持ち主のゆとりちゃん達は、いつの間にかその輪の中に混じってる。

それを遠目に眺めながら、学生の頃と何ら変わりないじゃない…と拗ねる。

ホントは自分もあの中に入って話したい気持ちもあるけど、実際は彼と二人だけで話したい気持ちの方が強い。

そんなことが実現できるわけないんだ…と思いながら、折り畳みの椅子を片付けだす。


私の周りにいる参列者達は皆、お神酒の入った盃を片手に談笑をしてる。

そのお酒の匂いに酔いそうだ…と思い、せっせと椅子を運んで気を紛らせた。



「大田さん、片付けなら俺達がやるっすよ」

「大田さんは、一ノ瀬さんと話してくればぁ〜?」

「ここはオレらに任せてー」


重役達の輪から飛び出してきた三人は、はいはい…とイスを取り上げ、代わりに清酒の瓶を持たせる。


「えっ…あの…」


そんな気遣いしなくていいし!


「早く〜」

「一ノ瀬さん、話したがってましらよ」

「初恋は逃がすなっすよ!」


さぁさぁ…とまるでお笑いトリオのように私を前に押し出す。
重役達の側へ連れて行かれたら、まるで貢ぎ物の様な気分だ。


「これはこれは、大田さん」


半ば酔っ払いかけてる岡崎さんがニヤリと笑う。


「いつも資材管理では世話をかけて悪いね。それに今日は朝から正装でよく似合う!」