イジワルな彼と夢みたいな恋を?

「ワッ!」


背後にいると思ってた奴が直ぐ側まで近付いてて驚かされた。


「ひゃっ!!」


ビクついて肩の上がる私を指差して大笑いをする。



(こんな奴、心配してやる必要もなかった)


ムッとして怒り飛ばしてやろうかとしたのに。


「心配してくれてサンキューな」


嬉しそうに笑ってお礼を言われた。

その顔は今まで見てきたものとは違って正統的な王子様スマイルだったから、冷めた中学生だった私にもキュンとするくらいにステキに見えた。



ドキン!と胸が鳴る音が聞こえ、(何だ!?)と焦った。

それを無視してしまえ…と、咄嗟にそう思った。


一学期を無事に終え、終業式の後で……



「なぁ、夏休みに肝だめしやらないか?」


面白そうな企画を考え出すのは、いつも一ノ瀬圭太。
男子はそういうのには直ぐに乗りたがった。


「いいな。ヤろうぜ」

「場所は何処にする?」

「当然、校内だろ!」

「だったら担任に許可求めないとな」


「いつがいい?」

「七月の三十一日!!断然その日にしよう!!」


女子にも直ぐに話が回り、全員参加の意思が固まったところで担任に許可をもらった。


これには私は大反対の意向を示した。
オカルトだのホラーだの、絶対にムリだと思ったから。



「私怖いのダメだって言うのにぃ〜〜!」


ブルブルと体を震わす私を親友の絵里は「平気だ」と言って笑う。