「それともアレか。『無責任すぎもいいとこでしょ!』か?」


あちゃ。
まさかそこまで感情だだ漏れてたなんて。



「ど…」


どうしよう。
他には何を言ったんだろう。


(とにかく謝らないと。酔った勢いに任せて、恨みや辛みをぶちまけたんだから)


「それもこれも全部ごめん!
何も記憶に残ってなくて、自分が何を頼んだのかも覚えてないし、タクシー乗り場まで連れて行ってもらったこともちっとも思い出せなくて。
……わざわざハワイから帰ってきたって聞いて、しかも私に会う為だって聞かされて……」

「待て」

「はっ?」


喋ってるうちに下を向いてた目線を上げると、目の前に見える男は若干照れてるようだけど気のせい?


「お前、その話何処から仕入れた?」

「えっ、どれ」


聞き返すと口元に手が添えられる。
話にくそうに目線を逸らせ、長い指を折り曲げながら唇を隠した。


「その……大田に会う為にハワイから帰ったって話…」

「えっ、あの、絵里からだけど?絵里は坂上君から聞いたって言ってた」

「あいつか」


あのヤロー…と暴言を呟き、覚えてろ…と囁く。
こっちは何で怒ってるのかも謎で、ぽかんと顔を見つめるしかない。


視線に気づいた奴が咳払いをする。
何処か誤魔化してるようにも見える一ノ瀬圭太に向かい、もう一度頭を下げた。


「とにかくごめん!言いたい事言って!」