「素敵。ホントにこんな家に住みたい」


早く中が見てみたい。
お願い、誰か早く来てーー。


シャッターを切りながら一周ぐるりと回った。

残念ながらタイルを貼れそうな場所は見つけられず、どうしたもんか…と悩みながら玄関アプローチへと戻った。


戻ってきたらさっきと違ってる部分に気がついた。




「えっ…」


ドアが開いてる。
いつの間に?


「誰が来たの?」


岡崎さんかな。
それとも、モデルハウスを管理する事務所の社員?


「誰でもいいや。中に入って写真を撮ってもいいか聞こう」


走って玄関に近づいた。

ガラス入りのオークカラーのドアの辺りまで来たら……。



「大田…?」



その声を聞いた瞬間、ドクン!と胸の音が響いた。


夢かと思った。

まさかの一ノ瀬圭太の存在に、大きく胸が鳴り始めたーー。