イジワルな彼と夢みたいな恋を?

訓練後は「楽しそうなクラス」だと周りの生徒からも思われるようになり、一学期が始まった頃に比べたら随分とクラス運営もし易くなった。

バスケ部だった一ノ瀬圭太は益々女子にモテるようになり、同じ学級委員をやってるよしみで、私は彼へのラブレターを渡して欲しい…と頼まれることも多かった。



「そんなの自分でやってよ」


相変わらず冷めた中学生だった私は、一ノ瀬圭太のことが好きにはなれない。

ラブレターを渡したいと思う子や休憩時間に彼を呼び出して告る女子の気持ちはわからなかった。


一ノ瀬圭太と違って、私の評判は下降線を辿った。
「冷たい人」と言われることが多くて、それでも別に構わないと思ってた。

私と一ノ瀬圭太とのことを「火と水だ」と言ってる人もいた。


「火と水」…(上等じゃん!)と思ってた。


可愛げのない女子だったと思う。
でも、クラスの中で唯一彼に媚びない私は、男子からのウケが逆に良かった。


背が高いところも中性的でウケてたのかもしれない。
他の女子には頼みにくい様なこともアテにされ、面倒くさいと思いながらも学級委員としての役目は果たしてた。


六月の末に行われた学期末テストでも一ノ瀬圭太は一番だった。
全ての教科が相変わらず満点に近くて、一体いつ勉強してるんだろうと思うほどだった。


部活でも一年生レギュラーになれる実力を発揮してたし、先輩達からも可愛がられる存在になってた。