魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜






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いつものようにシュウを見送り、朝食の後片付けもして手持ち無沙汰になった。


ベッドに勢いよくダイブすると、ぼふんと音が響いた。


こんなこと、シュウがいれば危ないと止められるだろうけど、あいにく彼はここにはいない。


もっとも、今も服には盗聴器が付けられているだろうから、こちらの動向は筒抜け。


後で何か言われるかもしれないけど、今は特に気にしない。



うつ伏せにごろりと寝転んで、先日シュウにもらった時計に目をやる。


現在時刻、午前8時58分。


9時まで約2分。


ちょうど良かった、と頬を綻ばせて時を待つことしばし。



時計の針がきっかり9時を指した瞬間。


軽やかでいて、耳に心地よく響くオルゴールが音楽を奏でる。


この時間に流れるのは確か、アメージンググレイス。