ものの数十秒と経たないうちに戻ってきたシュウの手には、出た時には持っていなかった袋が提げられていた。
それを私に受け取らせると、彼は開けるよう催促する。
促されるままに開けた袋から、両手に乗る程度の、けれど少し大きめの、包まれた箱が出てきた。
大きさに反して重さはなかなか。
見た目からは何が入っているかは分からない。
その箱も梱包を丁寧に取り払い開けてみると、中から顔を出したのは一台の置き時計だった。
高そうなガラスケースに入れられた、文字盤を囲うように散りばめられた色とりどりの宝石の如く輝く小物たちに、金のハープと女神の姿。
その見事なまでの装飾は、声にならないほど綺麗だった。
可愛らしく、それでいて目を惹かれる美しさ。
全体的にこじんまりとした印象を受けるも、見劣りした点は一切ない。


