魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜




綺麗に包まれたものをしっかり抱いて、店近くの喫煙所まで行くと、ちょうどシロウさんが煙草を灰皿に落としたところだった。



「急がなくていいっつう意味だったんだがな」


小走りでやって来た私に苦笑するシロウさん。



そうは言うけれど、心配になってしまったのだから仕方ない。


そんな心情を抱えながら、シロウさんの指摘に対してそれをおくびにも出さずに受け流す。


知ってか知らずか、「さて」と呟いてシロウさんは腕時計に視線を落とした。



「案外早く用事が済んだな。
どうする。どっかで茶でも飲むか?」


「……あ…」


言われた瞬間、アサヒの顔がちらついた。



早く帰ったほうが……


一瞬でもそう思ってしまった私の心のうちを見透かしたかのように、シロウさんが思い出したように言う。