お願いするように軽く顔を傾けて、一瞬目を細めると、シュウはあっさりと上から退いた。
その呆気なさに夢かとも思ったけど、鮮明に刻まれた記憶と肌に残る熱が今の出来事は現実だったと知らせてくる。
突然の出来事。
放心した私に、シュウは先ほどと同じように私の目元を覆うと、瞼を閉じさせる。
「きっと疲れているんだ。少し休もう。
大丈夫。アリサが堕ちていかないように眠るまで、側にいてあげる。あとで起こしてあげるから」
優しい声。
——余計なことは考えなくていい。
そう言われた気がした私は、誘いに進んで乗ることにした。
そうしなければいけない気がした。
うとうと。
眠りへと誘われる。
視界のはっきりとしない暗暗の中で、意識が途切れる直前、思った。
ああ、この人の側は暖かくて、安心できる。
とてもとても、心地が良い——。


