いつからだろうか。
世界に点在する何にも執着がなかった。
人にも、物にも。
残ったのは、私の中に存在するただ一つの希望のみ。
そんな、唯一離れないと心に決めた義弟は、私に倣って育った。
そう、一緒に。
私が手を差し出せば、繋いでくれた。
私が走れば、数歩後ろをついて来た。
時には手を引いて、連れ出してくれた。
どこにいても、何をしていても。
彼は何を投げ出しても私を、探し当てた。
まるでそうしなければいけない、使命感を抱いているように。
私が欲しかったのはなあに?
彼の愛情?
うん、そう。ずっとずっと、欲しかったの。
だけどね、それだけでは物足りなくなってしまった。
貪欲に、もっともっとと欲しがって。
欲張りになってしまったの。
私は彼が好き。
彼も私が好き。
今ではそれが通って、離れられない存在にさえなりつつある。


