壊れ物を扱うかのように。
真綿でくるむように。
優しげな所作で私をベッドに仰向けに押し倒した。
「え、あの。シュ…ン…」
彼とは異なる、長く真っ直ぐな癖のない髪。
けれどお揃いの漆黒の髪を撫で付けて一房摘むと、戸惑う私をよそに彼はそのまま、自然な流れで口付けた。
「っ——!シュ…っ」
「黙って」
驚きに目を見開く私に一言。
おかしなことは何もしていないような、何気ない会話をしているのと何ら変わらない声色で私を押し止めると、今度は耳の裏に近い、首筋へと顔を寄せる。
「アリサは悪い子だね。
僕の言うこと——聞けない?」
興奮でもしているのかと錯覚させる熱い吐息が、肌に触れるかというギリギリを保つ唇からダイレクトに伝わってきて私の頬を紅潮させる。
「ふふ、かわい」
今度こそ首筋に唇を寄せて、肌にも一つキスをする。


