初めて入った部屋は、思いの外綺麗だった。
というのも、この部屋だけは何度頼んでも掃除さえさせてもらえなかったのだ。
「俺のプライベートスペースだからだ。
お前らを入れたら台無しだろうが」
そう言うのが彼の主張だ。
だからか、多少緊張しているというのもある。
入ってきたはいいけど、じっと言葉を発さない私に不思議そうな顔をするシロウさん。
「なんだ。どうした」
彼は何も気づいていないらしい。
とはいえ、それほど大したことではなかったから「何でもないです」と首を横に振った。
「あの、話というのは……?」
「ああ、そうだったな」
呼びつけておいて本題を忘れていることに、ため息をつきたくなる衝動を抑え込む。


