シロウのことを考えると、気分が悪くなる。
アリサ以外には感じたことのなかった、いわば“安定感”とも言えるもの。
嫌いだ、嫌い。
それだけだったというのに。
なぜだろう。シロウのことを大嫌いにはなれない。
その理由はいったい、なんだろうか。
考えても分からないんだ。
頭がいいだ何だと褒められても、所詮そこまでだ。
周りが期待するほど僕は優秀ではない。
だから簡単なはずの問題すら解けないんだ。
アリサはあいつに心を許している。
それが複雑で、胸が痛い。
そういった理由なら分かっているというのに。
そう、分かっていて辛いのにどうすることもできない自分が、本当は一番、大嫌いだ。


