安堵したのは覚えているよ。
だけど——
「だあれ?」
まあ、普通は信じられないだろうけど本当だよ。
その時既に君は記憶を失っていたんだ。
どれだけショックだったんだろうね。
その時だよ、僕が罪を被ろうと思ったのは。
こんな好機を見逃せるわけはないよ。
せっかくアリサが全部を都合よく忘れているのに。
アリサに思い出させてはいけないと思ったんだ。
これ以上、心に負荷はかけたくなかった。
だから、いざという時の常備薬を飲ませたんだ。
かなり強力な薬で、多量に服用すると副作用から最悪、記憶障害が生じてしまう薬だよ。
都合がいいよね。
どうして持っているかって?
秘密だよ、秘密。
……違う、そんな顔をさせたかったわけではないんだよ。
わかった。話すよ。


