「行きませんから。離してください」
とりあえず言ってはみるけど、効果がないことくらい私でも分かる。
案の定、にやにやと気持ちの悪い笑みで私を見下ろす彼らに、解放の意思は見られない。
「怯えちゃって。かーわい」
怯えている?
私が?この人たちに?
言われて気付いた。
掴まれた腕、肩、体が、微かに震えていることに。
まさか。
心持ちは気丈でも、身体は正直だった。
こんな人たちに怯えた自分がいるなど、考えたくもなかったけれど。
頭が真っ白になる。
震えは募っていく。
どうしたら……どうしたら、いい?
この状況を打破できるほど私は、こういうことには慣れていない。
一人で街中を出歩くことなど、今までほとんどなかった。
だからか、対処法は一向に見つからず、焦りは募るばかりだった。


