本当に、そびえ立つ時計塔が見えた。
でもこんなに高かったら、見上げなければいけないし首が痛くなりそう。腕時計の方が使いやすい。


時計として使うというより、ここの象徴として存在しているのかもしれない。
赤いレンガが綺麗で、ここを見守るように立っている。


「あら、桃子ちゃん」


「オレガノさん!?南天さんも……」


また会った。何だろう、不思議な縁があるのかな?
オレガノさんはベージュのコートを羽織っていた。南天さんは黒いコートだ。


「こんな朝早くにどうしたの?」


「えっと……空操禁書を止めるために移動しているんです」


「もしかして、太部の時の?」


「はい!今から行くところでは、空操禁書を弱体化させるんです!」


力と期待を込めて言った。


「弱体化。空操禁書が人を傷付けることを防げるかもしれないのね。私も行きたい。治療なら任せて!」


「私もよ。空操禁書との戦闘も経験している……」


期待が通じた!さて、仄矢はどう言うかな?


「二人の作戦参加、許可します。説明は後でまとめてしましょう。桃子さんたちにも教えていないことがありますし……現地に行った方がわかりやすいこともあります」


仄矢は持っていたファイルの紙に何かを書く。
これで今のところ五人。現地にはもっと人が待っているかもしれない。
怖いもの無しだ!……は言い過ぎかな?


「さっそく階段を登りましょう」


そう言って仄矢はネックレスを外す。ネックレスには、キラリと輝いた、銀色の小さな鍵がついていた。

仄矢が時計塔の入り口に鍵を差し込む。
もしかして、この高さの階段を登るの……?


見和さんの家の恐怖、再び!?