その瞬間、ふと視線を感じた。


幽霊ーーっ?


反射的に頭を上げてしまった。


しまっーー


私のバカ!!!


でも、頭を上げた私の視界に映ったのは
幽霊ではなかった。


じっと私の方に視線を向けているのは


隣の席の転校生。


たしか、橘だっけ。


なんで私を見てるの!?


私が見つめているのにも動じず、
一点を見つめる橘。


それに違和感を感じた。


ーーいや、違う


彼は私の後ろを見ている?


何故か彼の顔は少し強ばっているように見えた。


何も考えず私は彼の視線を追う。


私は窓側の席の一番後ろ。


考えれば分かることだ。


振り向いた先には


窓に張り付いている、
ーー女の子。


“幽霊を見たら目を合わせてはいけない”


そう、本に書いてあった。


でも、間に合わない。


しっかり私と目を合わせると


ニタァ、と笑う女の子。


その目からどんどん血が出てきてーー


「ーーーーひっ!」


思わず小さく叫ぶと私は
教室を飛び出した。