最後のナミダ〜ヤミからヒカリへ〜

「わ、私……。」


掠れた声で呟く私。


「俺も、寝ちまってな。」


また、私の目元を拭いながら橘は
ポツポツと話し始めた。


私、涙………。


「目が覚めたら、夕方になってて。」


泣いた……?
私が………。


夢とはいえ。


“もう、泣かない。”


そう、決めたのに。


「んで、お前をみたら……。」


言わないで。
それ以上、言わないで。


「泣い……」


「やめて!!」


彼の声を遮り、思わず叫んでしまった。


勢いで横にしていた体を起こす。


「……泣いて、ないから。」


「間宮。」
ビックリしたのか彼は手を引っ込めた。


「……帰るね。」


恥ずかしさと悲しさと……


いろんな感情がごっちゃになって。


彼から、離れたかった。


「待て!」


立ち上がって、歩き出す私の手を。


「お前、さ……」


掴む、橘。


「…いや、なんでもない。気をつけて帰れよ。」


「………」


バタン!


もう、ダメ……。


あれから、ずっと泣かなかったのに。


しかも、橘の前で泣くなんて……。


『私は幽霊が見えるの』


そう君に言ったら


嘘だって思うかな?
気味が悪いって思うかな?


……私から、離れるかな。


今までの悲しみを思い出しそうで。


忘れたいから、無我夢中で
走って、家に向かった。