それでも歯車は回っていく2 〜王国滅亡編・上〜

「そっか。そうだよな。ファレリアは常に、自分じゃない他人(だれか)のことを真っ先に考えて動いてた。

そうだよ、あいつがただ裏切るだけなんてあるはずがねぇ。」



「そうです。だから、だから……。」



こんな妄想や空想の、机上の空論でしかないそれを、真実のように話す今の私は、罪悪感と、喪失感で一杯だった。



「大丈夫。兄様が妹に励まされてちゃ、世話ねぇからな。」



吹っ切れたように見せた兄様に少しだけ安心しながら、再び会に目を向けることにした。



多分、ここが私たちに直接関係する最後の議題。



「不在の第一王女の枠に、復帰した第二王女を仮の第一王女とし、その証であるライナの名を一時的に第二王女のものとする。」



流石にこれには会場が騒ついたようだった。


詳しい説明は、ライアンさんが……ほら、前に出て来た。


「第一王女が行方不明でも、国政は疎かにできない。

だからこそ、王立学園でもトップ、第一王女(ファレリア様)よりも優秀だった第二王女(フィル様)なら、任せてもいいのではないだろうか。

逆に、ファレリア様が居(お)られぬ今、彼女以上の適任はいると思われますか?」



ライアンさんの、この8年間の実績と言う名の信頼はすごい。


特攻隊というだけで尊敬から嫉妬まで受けるのに加え、たとえ年上でも引かないまっすぐな心は、現代に生きる殆どの常識あるヴィーナス貴族の心を掴んでいた。